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    アニメ”ローズオニールキューピー”-Rose O’Neill Kewpie-

    2009年12/2(水)から『ローズオニールキューピー』という
    全24話の5分間アニメがWOWOWで放送されました。
    2010年4月から放映時間が毎週水曜日7:55〜8:00に変更され
    この時間帯で2010年6月30日〜第1話から再放送されました。
    (2011年2月放送終了)

    <2009年11月 記>
    ローズオニール(Rose O’Neill 1874-1944)さんは、
    あの”キューピー”のキャラクターを1909年に創作した女性です。
    ”kewpie”という造語も、1955年に誕生したディズニーランドの原型になった
    ”キューピーヴィレ(1925年)”も彼女の発想から生まれました。

    今回作られるアニメは彼女のオリジナルデザインや
    オリジナルストーリーをとても忠実に再現しています。
    1900年代前半に作られたお話ゆえ、
    ちょっと昔の道徳の教科書みたいな部分もありますが、
    それも含めて最近のアニメにはない独自の世界観。
    まずは小さなお子さんにお勧めですが、
    大人だってその素晴らしさを充分楽しめるはず。

    んで、私は今、このアニメの劇伴(劇中BGM)を作っています。
    本編部分は約3分ですが、ストーリーや動きに合わせた音楽を
    お話ごとに作っているのでちょっと大変。時間もかかります。
    でも、こんな素敵な絵に合わせて音を作るのは実に愉快なのです。
    そしてこの作品に関わっていることを光栄に思っています。

    WOWOW未契約の方もご覧になれるノンスクランブル放送。
    是非録画してご覧下い♪

    <2010年2月4日 記>
    本日、14話=約半分の音楽制作が終了しました。残り半分。
    今後は「オニールさん、こんな音楽どうでしょう?」と、
    常に問いかけながら作業しようと思います。

    <2010年5月10日 記>
    ちょっと日にちが経ってしまいましたが
    4月29日にこのシリーズ最終話(26話)のMAが無事終了しました。
    音楽制作作業はこれにて完了。
    オニールさんに満足して頂けたかどうかは解りませんが
    自分なりの緊張感をキープしつつ
    最後まで作業できたと思います。ほっ。

    なお、WOWOWオンラインによると
    どうやら6/30(水)から第1話が再スタートする模様。
    あと半年オンエアが続くのかな?
    だとしたらとても嬉しいのであります。

    ******<以下、各話ごとの劇伴について簡単に>******
    第1話 スクートルズの大冒険 その1
    オープニングのテーマは各話共通。(バランスが毎回違いますが)
    メロディはYAMAHAの「ギタレレ」。
    ギタレレはウクレレサイズのギターで、
    普通のギターの5カポと同じチューニング。
    また、キューピーヴィレの場面では
    「カルカッシ25の練習曲」の18番をアレンジ/引用しています。

    第2話 スクートルズの大冒険 その2
    巨大なヘビ君の場面の音楽が気に入っています。
    ホブ爺さんの目がパチクリする所に音楽でもアタックを当ててみました。
    ちなみに目がパチクリすることを「目パチ」と呼ぶそうです。
    この仕事で初めて知りました。
    そんな小さな事柄も含め”知らなかった世界”と接するのは誠に楽しいのです。
    以降のお話でも「目パチ」に音を当てた箇所が多数あります。

    (第3話以降も一言解説を書く予定でしたが..3日坊主ならぬ2話坊主にて終了m(..)m)

    <2023年10月 記>
    この仕事は15秒30秒で完結するCM音楽とは全く別の世界。
    私にとっても”大冒険”でした。
    しかし、スタッフの皆さんが全面的に私を信頼して下さったので
    方向性の大枠を打ち合わせした後は細かい指示は一切ない上に、
    結果として全てのお話が一発OK。リテイクなしで全曲作り続けられました。

    テーマ曲練習中↑ 2010年8月

    ギタレレをはじめ、フォークやガット、マカフェリなど様々なギターやウクレレ、
    マンドリン、オートハープ、リコーダー、ハモニカ、トイピアノ、ハンドベル、クラリネット、
    ヴァイオリン、鍵盤ハモニカ、バリ島の鈴、笛、鳩笛、おもちゃ多数、、、
    所有する”音が出るもの”を総動員して音楽を作り続けた日々は本当に幸せでした。

    曲調や演奏技術は素朴、使っている楽器も可愛らしい音色ですが、
    実はストーリーに合わせてテンポや拍子や調号がころころ変わっていきます。
    自分としてはプログレ的な楽しさもあると思っています。

    この作品は2010年以降、
    再放送もブルーレイ化もされずに2023年になってしまいました。
    権利関係がクリアできなかったから…
    という噂は耳にしましたが、実際のところは解りません。
    いつか再び多くの方の目(と耳)に届けば良いなと心から願っています。
    関係者の皆様ぜひご検討を。
    お孫さんへのクリスマスプレゼントなどにピッタリ♪
    流行り廃りなく末長く愛される作品だと思いますよ〜。

    Na:広末涼子、杏、佐々木希
    制作:トムス・エンタテイメント
    監督:荒川眞嗣 音響監督:郷田ほづみ
    効果:風間慎二 音響制作:西島浩志 音響調整:青木正俊
    音楽制作:ダイナマイトブラザーズ 豊原真士 餅原伸子
    劇伴作編曲:稲葉光秀 Vl:桑野聖(19話) Cho:ひらめ
    マスタリング:渋谷直人
    (ED曲も素敵ですが私は関わっておりません)